教会カンタータ−はバッハの作品の中で中心的な役割を持つ作品である。200曲近い教会カンタータがあるが、名曲もあれば駄作もある。この中で私の気に入ったものを紹介する。また、バッハの時代にはまだリコーダーが使用されており、教会カンタータの中にも使用されている曲は幾つかある。また、編曲すればリコーダー合奏に適した曲は多く、リコーダーフアンにとって見逃せない作品群だ。
教会カンターターについて
教会カンタータ−は教会の礼拝に合わせて演奏される、歌を中心にした声楽曲の一つの形式である。全員で歌う賛美歌のようなコラール、アルトやテノールなどの歌に簡単な伴奏楽器がつくアリアや、中には話言葉に少し音楽的な抑揚をつけたようなレチタティーヴォなどがある。中には器楽だけの曲も少しはある。
バッハはライプッイヒのトマス教会のカントル(教会音楽の責任者)であったとき、毎週、教会カンタータ−を作曲し、演奏していたとのこと。そのため、200近くの教会カンタータ−が残っている。一つの教会カンタータ−は6曲程度の独立した曲で構成されている。礼拝に合わせて順次演奏されるのであろう。曲だけを通して演奏すると時間は20分程度である。従って、この教会カンタータ−を全曲聴くとなると単純計算で70時間程度必要となる。
これら膨大な曲の中には親しみ易い曲が多い。バッハも毎週作曲するのは大変であったのであろう、中には以前どこかで聴いたような曲もある。これらの曲の中で一番有名なのは教会カンタータ−147番のコラール「主よ人の望みの喜びよ」であろう。さまざまな楽器で演奏されており、amazonのサイトで検索してみたら450程度のCDがヒットした。
教会カンタータ147番全体を聴くと30分程度かかるが、有名なコラールだけなら4分弱である。なお、この147番は他の曲も素晴らしいものが多い。
カール・リヒター指揮の教会カンタータCD
教会カンタータ多くの指揮者が録音している。その多くの指揮者は教会カンタータをシリーズのように録音している。但し、全曲を録音するとなると、長い年月が必要であり、大変であると思われる。私は名演奏で評判の高いカール・リヒター指揮、ミュンヘン・バッハ合唱団、管弦楽団が演奏した廉価版の全集を十数年前に購入した。この全集も全曲ではない。教会の1年間の行事に合わせて演奏される75の教会カンタータ−(27CD)を集めたものである。
気に入った教会カンタータ
何しろ200曲近い教会カンタータがあるので、名作もあれば、駄作もある。聴いた中で教会カンタータ−として気に入ったのは1番、4番、8番、61番、78番、80番、82番、106番、140番、147番などである。曲単位では更に多くの気に入った曲があった。しかし、この好みは絶対的なものでなく、多分、聴く時の気分によって変わってくるだろうと思う。
リコーダーが使用された教会カンタータ
教会カンタータ−の中でリコーダーはブロックフレーテ(昔のドイツでの呼び方)と言われており、伴奏楽器として使用されている。200の教会カンタータ−で、リコーダー(ブロックフレーテ)が使用されている曲は13番、18番、39番、65番、69a番、71番、81番、96番、103番、106番、122番、127番、142番、152番、161番、175番、180番、182番、189番である。他の楽器と一緒に演奏するとリコーダーは音量が小さく、聴いていても気が付かない可能性もある。バッハも積極的には使用していないようである。その中で一番有名なものは、気に入った曲にも含めた106番である。このカンタータ−は9曲で構成されているが、リコーダーがメインの伴奏楽器となっており、2〜3の曲を除きカンタータ−全体として使用されている。また、リコーダーの音量が小さいことも考慮して、上手く活用している。私がリコーダーを始める切っ掛けになった曲であり、機会があれば聴いてほしい。
原曲には含まれていなくても、合奏用に編曲して使用すれば面白そうなコラールやアリアは多くある。原曲は声楽パートと2〜3の伴奏楽器で構成されており、編成が小さいことから、少し工夫すれば、編曲もあまり難しくはないでなかろうか。また、あまり難解な曲はないので、素人のリコーダーの合奏には向いているのではないかと思っている。今後、この面からも注意したい。