D-Wave 2000Q

量子コンピュータ「D-Wave 2000Q」発売、公約通り量子ビットを倍増

D-Wave社から私の想像を超えるスパーコンピュータが発表された。詳細な内容は不明であるが、今後、この技術をマークする。

(ITproから転載)
中田 敦=シリコンバレー支局 2017/01/25 シリコンバレー NEXT

 カナダD-Wave Systemsは2017年1月24日(米国時間)、量子アニーリング方式の量子コンピュータである「D-Wave 2000Q」を発売した。量子ビットを従来モデルの2倍となる2000個に増やした。米国のセキュリティ企業であるTemporal Defense Systemsが新モデルの購入を発表している。

D-Waveが新モデルを発表するのは2015年8月以来のこと。同社は「2年ごとに量子ビットの数を2倍にする」と以前から主張しており、その公約を実現したことになる。量子アニーリング方式の量子コンピュータは、機械学習やディープラーニングに欠かせない「組み合わせ最適化問題」や「サンプリング」を解ける。D-Waveはプレスリリースで、「従来型のコンピュータ(古典コンピュータ)に比べて1000~1万倍、組み合わせ最適化問題のアルゴリズムを解ける」「GPUベースのスーパーコンピュータに比べて、消費電力効率が100倍優れる」などと主張している。
D-Waveは同日、Temporal Defense SystemsがD-Wave 2000Qの最初のユーザーになると発表した。その中でD-Waveは、D-Wave 2000Qの価格が1台1500万ドル(約17億円)になると述べている。同社はこれまで量子コンピュータの価格を明かしていなかった。

2017年は日本で量子アニーリングの学会が開催

東京工業大学の西森秀稔教授と門脇正史氏が提唱した理論に基づく量子アニーリング方式の量子コンピュータは、現在のところD-Waveだけが販売している。しかし他の企業や研究機関も、量子アニーリング方式の開発を進めている。
米Googleは2016年7月に、量子アニーリング方式の開発計画を発表済みだ(関連記事:Googleが3種類目の量子コンピュータ開発へ、量子アニーリング方式)。また米国政府のIntelligence Advanced Research Projects Activity(IARPA)でも量子アニーリング方式の開発プロジェクトが進行中で、マサチューセッツ工科大学(MIT)のLincoln Laboratoryが、量子アニーリング用に超伝導方式の量子ビットの開発を進めている。
2017年の夏には、量子アニーリングに関する学会「Adiabatic Quantum Computing Conference(AQC)」が日本で開催される予定。量子アニーリングへの注目度はますます高まりそうだ。

量子コンピュータの技術を解説した資料が見つかったので、紹介する。

人工知能(AI)開発の急速な進展に伴い「量子コンピュータ」が次の時代のコンピューティング技術として注目され、さまざまな場面で取り上げられている。
量子コンピュータへの関心が再び高まった理由の一つは、AIで活用される機械学習「ディープラーニング」の性能を向上させる可能性があるからだろう。さらに、商用の量子コンピュータが登場したことも大きいと予測される。Amazonを創業したジェフ・ベゾズ氏やゴールドマン・サックスも投資するなど関心も高い。
今回は、カナダで創業した量子コンピュータメーカーのD-Wave Systemsを紹介する。

■そもそも量子コンピュータとは何か?

D-Wave Systemsの量子コンピュータは、そもそもどんなものだろうか。
D-Wave Systemsが公開している情報によれば、量子コンピュータ「D-Wave」シリーズの見た目は、大きな黒く四角い箱型だ。もちろんただの「黒い箱」ではない。日常的にわれわれが使っているコンピュータとは違い、筐体の内部は「大きな冷蔵庫」のようになっている。量子コンピューティングのカギとなる量子状態をプロセッサに作り出すため、極低温に冷やす仕組みを備えている。プロセッサは約マイナス273℃にも冷えており、絶対零度をわずか0.015℃だけ上回る温度で駆動するという。
従来のコンピュータとの違いを詳しく見てみよう。
従来のコンピュータはシリコンなどを材料にトランジスタを組み込んだ電子回路を作り、「0」と「1」の2種類の信号を切り替えたり組み合わせたりして動いてきた。
量子コンピュータも従来のコンピュータ同様に、信号を活用して計算処理を行う。しかし、電子回路の材料や、処理方法が異なるのである。材料は、ニオブ(Nb、耐熱合金に使われる金属の超電導体)などを使用しており、「0」と「1」が同時に存在する「00」「01」「10」「11」といった「重ね合わせ」状態の信号を作り計算処理を行う。1つのビットが複数の状態を表現できるため、組合せ最適化問題を高速で処理できるようになっている。
現在、D-Wave Systemsでは、さらに多くの量子ビットを搭載した量子コンピュータの開発を進めている。2,000個以上の量子ビットを搭載した量子コンピュータの出荷を開始するそうだ。

■日本人のアイデアも生かしたD-Wave、「機械学習」への応用でGoogleも注目

D-Wave Systemsが量子コンピュータを商品化したのは2011年のことである。D-Wave Systemsは「量子アニーリング」という理論を基に、量子コンピュータを開発した。その理論の大本は、東京工業大学の西森秀稔教授と同教授の研究室に所属していた門脇正史氏のアイデアだと言う。D-Wave Systemsの関係者も両氏のアイデアを活用したと明言しており、太平洋を越えて北米で商品化に使われたのだ。
米航空宇宙局(NASA)とGoogleは、この量子コンピュータの発売を受け、2013年5月に量子人工知能研究所を設立した。そしてD-Wave Systemsの量子ビットを1,152個も搭載した「D-Wave 2X」を導入し、性能実験などを繰り返してきた。その結果、現在のコンピュータとの処理スピードを比較したところ、量子コンピュータが最大1億倍も速く、組合せ最適化問題を解けることが判明したという。
また米航空機メーカー、ロッキード・マーティンも「D-Wave」をNASAやGoogleに先駆けて購入している。南カリフォルニア大学(USC)の量子計算センターと共同で量子コンピュータを利用しているそうだ。
次世代の技術とされてきたAIの研究が、量子コンピュータにより急速で実用化に向かっている。今後も、AIと量子コンピュータの組み合わせが創出していく効果に注目だ。(提供:Innovation Hub)

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