東京都の百条委員会で元知事の石原慎太郎氏の証人喚問が行われたが、収穫はゼロであった。これは無理もないことで、東京都の膨大な案件に関与する知事が、しかも脳梗塞を患った84才となっている知事がまともに回答すると考えることに無理がある。このような人間に証人喚問を行うのは人気取り以外の何物でもなく、都議会議員の神経を疑う。仮に働き盛りの元知事に質問しても、東京都の膨大な決裁の1事案にそれ程精通している人は少ないだろう。例えば、小池知事にオリンピックの一つのプロジェクトについて、10年後質問してもまともな回答がかえってくるか疑問である。
豊洲市場への移転問題は、想像するに多くのそれぞれの立場の担当者が係わっており、それらの総意で物事が進んだと思われる。最終的に決裁を受けるとき、知事には数時間程度説明された程度でないかと思っている。当然、担当者を信頼して決裁するのが当然である。
真実を調べたいなら担当者に質問すべきである。最も担当者も良かれと思ってやった行為に責任を問われてもたまったものでないが。
そもそも、豊洲市場の汚染問題自体が些細なことで、それをマスコミが針小棒大に報道した結果、話題になっているだけのことである。
問題にしている基準はそれを生涯(約70年間)飲み続けると少し健康(10万人一人程度の割合で癌になる)に悪いという程度のものである。コンクリートに下の地下水が、どうして市場の商品に混入するのか。間違って混入しても数滴である。70年間飲み続ける水量と数滴を比較すること自体馬鹿げている。仮に数滴かかったとしても、調理するとき洗うであろう。全く問題ないと考えるのが自然である。
「都民の安心」という概念が出てきているが、小池知事とマスコミが不安をまき散らしておいて、今更「安心」が得られないと何事か、知事とマスコミが間違った報道であったと謝れば殆ど解決することであろう。
石原慎太郎氏「ピラミッドの頂点として移転を裁可した責任は認める」 小池百合子氏を批判「不作為の責任問われるべき」
(産経新聞より転載)
豊洲市場(東京都江東区)の移転問題を検証する都議会百条委員会は20日、市場移転を決断した当時の知事だった石原慎太郎氏の証人喚問を行った。石原氏は「都庁全体の流れで市場を豊洲に移転することを決定した」と述べた上で、「ピラミッドの頂点として移転を裁可した責任は認める」と述べた。東京ガスとの用地買収交渉は「部下に一任していた」とこれまでの主張を踏襲した。
また、移転延期を判断した小池百合子都知事に対して「科学者が安全と言うのに、なぜ移転しないのか不可解だし、不作為の責任が問われるべきだ。都民を第一に考えて移転しなければならない」と批判した。
用地買収の交渉役だった浜渦武生元副知事と東ガスの間で水面下交渉があったとされる経緯は「一任していた。報告を詳細に受けていない」と主張。一方、豊洲移転にあたり地下水の有害物質を環境基準以下にするとした知事時代の方針を「私にとって重要案件ではなかった。基準のハードルが高すぎた」とも述べた。
百条委は同日までに石原氏を含む計21人の証人喚問を実施。しかし、(1)土壌汚染のある豊洲への移転をなぜ決めたのか(2)東京ガスに追加の土壌汚染対策費を求めないと決めた経緯-について、核心的な証言を得ることができなかった。
小池氏は豊洲への移転判断の材料として、豊洲の安全・安心や市場の持続可能性、百条委で追及が続く過去の事実関係を積み上げていく。安全については土壌汚染対策を検討する専門家会議が「食の安全に問題はない」とする一方、安心については明確な基準がなく、豊洲への移転の可否について消費者目線を重視する小池氏が今後、どう判断するのか注目される。
また、百条委でのこれまでの証言内容などから、一部委員の間には「東ガスの交渉のうまさに、交渉下手な都が次々と条件で折れた結果、契約に至ったのだろう。これ以上新しい事実関係を引き出すのは難しい」との見方も出ている。
意思決定過程の解明や個人責任の明確化など、会派によって百条委の目的も異なる。今夏の都議選に向けた思惑も絡み、百条委が結論をどのように位置づけるのかも不透明だ。